華-hana- 両子持縞 濃鼠/灰桜 11号、28号
華-hana- 両子持縞 濃鼠/灰桜
11号、28号
内巻き 濃鼠(黒)
製作の記録です。
作品に関する詳細はこちらからご覧いただけます。
目次
柄の意味・願い
両子持縞(りょうこもちじま)は
太い線の両側に細い線を配した日本の伝統的な縞模様で、太い線を親、細い線を子に見立てて転じて
・家庭の幸せ
・子孫繁栄
を願う帯状の和柄です。
kigokoro.の木のゆびわ 華-hana- 両子持縞はこれを斜め45度に3つ組み合わせたオリジナルデザインです。
今回は双子指輪(ペアリング)としてご注文いただいたので、木材の繋がっている部分から切り出し、出来る限り同時に製作していきました。
材料の切り出し
左から
・内巻き兼外巻き(ひとつ目)
・両子持縞部材
・内巻き兼外巻き(ふたつ目)
シンワ製のルーラー付きスケールを使って材料を切り分け、順番に接着します。
内巻き兼外巻きは研磨代を残して4.5mm、寄木材は2mm・1mm×2本・0.5mm×2本です。
研磨代を加味できない寄木材は刃の厚みで0.1mm単位までズレることがあるので、1本切り出すごとにカッター刃を折り、常に一番切れる状態にしておきます。
指輪の表面になる方を作業台に押し当てながら接着することで表面の段差を無くします。
内巻き兼外巻きに対してテーパー処理を行います。
先端がもろもろになるまで削り込むことで、合わせ目が分からないくらい綺麗に重ねることが出来ます。
内巻きと外巻きを30分間煮込み、丸棒に巻き付けて癖を付けます。
完全に乾き切る前に巻くと接着剤の層ごと縮んでくれるので隙間が生まれにくくなります。
内巻き製作
今回は11号と28号での製作のため、内側の塗膜を加味し12号と29号に合わせた治具を作ります。
アルミ切削の丸棒にマスキングテープを巻き、最後にセロハンテープで治具と内巻きがくっ付いてしまう事故を防止しています。
内巻き兼外巻きは約0.5mmのインディアンローズウッド材を使用し、2.5周の巻きつけによって1.5mm厚を確保しました。
kigokoro.では木工あがり時の総厚を1.5mmに設定しております。
残りの0.5周は寄木材を挟んだ後に貼り付けます。
巻き終わりの部分はシンワ製のプロトラクターとOLFA製のデザインナイフ(平刃)で45度に切り落としておきます。
45度に落とした部分は寄木材を詰めていくので、接着剤のはみ出た部分を綺麗に整えて直角と平面を保っておきます。
飾りの寄木
寄木材ひとつめの貼り付け。
前の部材との接辺→残りの部分と2度に分けて接着することで綺麗にぴったりと詰める事が出来ます。
ふたつめ、みっつめも同様に貼り付けます。
先ほど45度に切り落とした外巻き材の残りを利用して巻き終える事で色味や木理に整合性を持たせています。
ピント部がちょうど巻き終わり。
どこで重なっているか分からないほどに滑らかです。
木工あがり
柄が欠けたり飛んだりしないように慎重に幅を出し、全体を600番の紙やすりで整えて木工完了。
柄入りの指輪は規定値よりもデザイン性を優先しております。
塗装・仕上げ研磨
指輪の内側にぴったりと沿わせるようにマスキングテープを一周させ、表側にレジンを塗り重ねます。
「垂れたレジンが指輪と同じ高さになる」まで、今回は塗り付けと硬化を8度繰り返しました。
マスキングテープを表面に移し、内側にも先ほど塗り硬めたレジンごと覆っていきます。
大体2号ほど内径が小さくなるまで塗布したら一度完全硬化させます。
指輪の幅に対して薄皮一枚残すイメージで研磨して形を出していきます。
測っていませんが、恐らく残っている厚みは片側0.3mmほどです。
内側を研磨して指定の号数まで合わせたら、表面の凸凹を慣らします。
ここまでの研磨は全て320番の耐水ペーパーを使い、目が詰まらないように水を付けながら磨きました。
指輪の
・表側
・側面
・内側と角
の3回に分け、600番 800番 1200番 2000番 5000番 7000番 10000番と研磨し、最後に田宮製のプラモデル用コンパウンドで磨き上げて完成しました。
ふたつ目の指輪の写真を撮り忘れてしまったのでひとつ目だけですが、撮影距離を合わせて撮影しましたので透明度の変化をお楽しみください。
光沢を出してから研磨が甘いところを見つけたら600番からやり直しですが、今回はオーバー(塗装を剥がし切って木部が出てしまう事)を見つけたので補修を行い、完了しました。
最後に
最後までお読みいただき有難うございます。
kigokoro.のゆびわは1点1点が機械を全く使わない完全手作業による製作ですので、同じデザインでも少しずつ表情が異なります。
一期一会の出会いを大切にしていただけますと大変光栄に思います。
このデザインは
こちらからご購入いただけます。
他にも日本の伝統的な和柄をモチーフにしたゆびわを多数展開しておりますので、ご覧いただけるととても嬉しいです。