絢-aya- 市松 4mm幅 16号
絢-aya- 市松
4mm幅 16号
こちらの作例は、2022年3月にご注文いただいたお客様への記録です。
作品に関する詳細はこちらからご覧いただけます。
目次
絢-aya-
絢-aya-は指輪の全周を寄木細工で仕上げる豪華絢爛な指輪です。
柄によって製法が全く異なり、それぞれに経験と工夫を余すところなく注ぎ込む渾身の一作だけを絢-aya-と名付けました。
市松
市松(いちまつ)は「途切れる事なく続く格子模様」から
・繁栄
・魔除け
の意味が込められています。
区切れのない永遠の図形である指輪の円形に、永遠に続く格子模様を合わせた絢-aya- 市松には「途切れることのない人の縁」という意味を込めました。
材料の切り出し
柄物の指輪は一つひとつの部材が細かくなるため大柄な木理を避け、色味の整った部分を使用します。
反面、内巻きには幅いっぱいに木理を楽しめる様な木取りを心掛けました。
左から
・内巻き(インディアンローズウッド)
・市松部材(ホワイトシカモア、インディアンローズウッド)
内巻き製作
16号の治具に対し、内巻き用のインディアンローズウッドを巻いていきます。
指輪の総厚を約1.5mmに仕上げるため、内巻きは1.0mmほどに設定します。
今回の檜は厚み約0.5mmでしたので、接着層を加味して2周の巻き付けを行いました。
こちらの作品は4mm幅を規定値としていますが、後の研磨工程で余裕を持って作業するため、4.5mm幅で木取りを行なっています。
この時点で層ごとのズレや緩みのないようにしっかりと巻き上げます。
飾りの寄木
内巻きの外周に対して0.5mm厚の飾りを寄木で作成します。
市松は、寄木部材を正方形部分4箇所と長方形部分4箇所の12回貼り付けによって作成します。
正方形部分は2mm角の市松模様で固定した上で長方形部分を実寸値にて計算で割り出します。
曲面に対して2mm幅という細かい部材を貼り付けるのは隙間が出来やすく、非常に難易度の高い作業です。
インディアンローズウッドの内巻きに対してひとつめの長方形パーツを貼り付けます。
貼り付け前に径の違う丸棒を順番に用いてクセ付けを行い、急激な変形によるささくれを防止しながらしっかりと貼り付けていきます。
内巻きを製作する際にズレがないように留意したため、それに合わせてさらにズレがないように貼り付けていきます。
ここが斜めにズレてしまうと柄の角度が変わり、最終的に指輪全体の幅に影響します。
貼り付けた寄木部材に合わせて切り出した材料を順番に貼り付けていきます。
貼り付けた時にはみ出た接着剤は綺麗に除去して、90度と平面を常に保ちながら作業していきます。
柄同士の隙間を作らないのは最優先事項です。
最後の寄木部材だけは1mm長く切り出しているので現物に合わせて0.1mm単位の調整を行い、隙間を作らずピッタリ収まるように貼り付けます。
木工あがり
内巻きと飾りの幅の差を研磨して馴らします。
偏ったり削りすぎると直角が命の市松の模様的に、斜めが非常に目立つので慎重に。
この柄は研磨しすぎると柄の角が欠けてしまうので、木工の精度を極限まで高めることで表面の仕上げ研磨をほとんど行わずに塗装工程に入ります。
内側と外側の角の部分は着け外しのストレスを減らすため、600番の紙やすりで丸めてあります。
塗装・仕上げ研磨
表面と内側をマスキングを駆使して別々に塗装します。
表面は厚みのある艶々の塗装を目指すために、先ずUVレジンによるコーティングを行います。
全体にラッカーを吹いて仕上げとなります。
アクリルラッカースプレーのクリアーカラーのみ使用しているので、木の色味はそのままに、木理は更に引き立ちます。
経年により硬度が増すこと、日焼けにより薄い飴色に変わるのもこの塗料の特徴です。
硬化後に1200番の紙やすりで水研、2000番で油研(荏胡麻油使用)し、完成です。
最後に
最後までお読みいただき有難うございます。
kigokoro.のゆびわは1点1点が機械を全く使わない完全手作業による製作ですので、同じデザインでも少しずつ表情が異なります。
一期一会の出会いを大切にしていただけますと大変光栄に思います。
このデザインは
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他にも日本の伝統的な和柄をモチーフにしたゆびわを多数展開しておりますので、ご覧いただけるととても嬉しいです。