ではまずは字牌が１００％安全になるまでのお話から始めましょう。
これは以前すずめさんが打った局の牌姿です。
捨牌は前回からの引用です。

西と東。
牌の持つポテンシャルとしては同じですが、見えている枚数が違いますよね？
１〜２枚と３枚、４枚では否定できる待ちの種類が異なるので安全度が大きく変わるんです。

東を誰かが捨てていたり、ドラ表示牌に捲れていたりすると上の５種類全てに安全な『完全安全牌』になるんです。
厳密に言うと１・９・字牌は国士無双という役満に当たりますし、完全安全牌は全員に対していつでも１００％安全なので２軒目の立直に対応するために取っておきたかったりしますが、現物がない時に出し渋って放銃するよりずっとマシです。

現物探しに必死になると視野が狭くなってしまいがちです。
ドラ表示牌や他家の副露、直前に上家が切った牌などが目に入らないのは初心者あるあるなので、リラックスして全体を観察しましょう。

僕はお相手の手番中に自分の手牌のことを大して考えていませんからね。
今この人から立直きたらこれが切れるなーとか、この字牌対子は完全安全牌になったなーとか、そういうことを考えていることの方が多いです。
だからよく手役を見逃すんですけどね。
立直が怖いと思えるようになったのはとても偉い成長です！

では次は両面待ちを否定する『スジ』という考え方を見てみましょう。

まずはすずめさん。
こんな風なツモをしたらすずめさんなら何を捨てますか？
聴牌していますが、一身上の都合で立直していなかったとしましょう。

そうですね。
麻雀は”両面を作る”ことを大切な過程としているゲームです。
ですから”最終形が両面である”という想定は非常に理に適っていると言えます。
実際のデータでも立直の７割程度は両面待ちであると言われているようです。

”どの両面で待っているか”は重要ではないんです。
”この両面でロンはあり得ないからこれは比較的安全”という考え方をする一例がスジです。

先程の牌姿です。
例えばこの立直に対して”両面待ちには絶対に当たらない牌”が２枚だけ存在します。
それがなにか分かりますか？

元気があってよろしい。
ヒントは”振聴”です。どうでしょう？

正解は萬子の４と筒子の８です。
詳しく見てみましょう。

簡単なイメージで覚えてしまうのが楽ですよ。
電卓やテンキーの縦の列がちょうど１−４−７、２−５−８、３−６−９になっています。
この「真ん中が現物の時の外側」と「外側両方が現物の時の真ん中」がスジです。

大正解です。素晴らしい！
４・５・６の牌はそれを待ちにする両面が２つありますが、片側のスジだけが現物のもの、今回で言うと萬子の６は『片スジ』なんて呼びますね。
普通に両面でロンと言われる牌なので注意が必要です。

いえ、最初はこうやって理屈を理解しましたが、今は別にこんな表を思い浮かべたりはしていませんよ。
現物があればそれを切る、無ければ字牌、それも無ければスジを枚数が多い順に捨てているだけです。

知らない人が見たら点数計算でもしているように見えちゃいますね。
ちなみにですが、今日お話しした２つは重複させるととても安全な牌が分かったりしますよ。

４が現物の時の４枚目の１とかがそうですね。

４が現物じゃない人には両面で当たりますから完全とは言えないですけどね。
それから、「現物」は立直後に全員が捨てた牌のことを指すので立直者以外の捨牌にも注目です。
見えている情報の違いによって安全だと判断した牌を他家が捨ててくれることも、自分の手牌が放銃リスクを負ってでも危険牌を押す価値があると思った人が現物を増やしてくれることもあります。
リラックスして、全体をよく眺めるように心掛けましょう。